こんにちは、ユカです。
今回は20年近く保育士として子どもたちと関わる仕事をしてきたわたしが、本気で保育士はもう辞めようと思った時について書いてみようと思います。
最初に結論だけ書いておくと、この20年近い時の中で、本気で辞めようと思ったのは2回あります。
1度目は、保育士の仕事を始めたばかりで1年が経った時。
2度目は、二人目を妊娠した時。
これ、その時は実際に仕事を辞めました。
けれども、2回とも、また保育の世界に戻ってきてしまうことになり、今に至っております。それってやっぱり子どもに関わるこの仕事が好きだからなんでしょうね。
保育の現場で働いている人の今後の生き方の参考のひとつにでもなれば幸いです。
わたしに保育士は無理だ
保育士の資格をとって就職したのは児童養護施設でした。
保育士=保育園と思い描く方も多いかと思いますが、保育士資格を持っていれば多くの児童福祉施設で勤務することができます。
もともとわたしは児童養護施設で働きたいと思って保育士資格を取得したので、目標としていた児童養護施設で就職することができたわけです。
実習などにも行っていたし、ボランティアもしていたので、過酷な現場というのも理解していたつもりだったのですが、職員として働くというのは、全く違うんだという現実にぶちあたってしまいました。
後で知ったことなんですが、わたしは共感性が強いタイプで、どうしても過酷な環境下の子どもたちに共感してしまいがちになって、感情移入しすぎてしまうところがありました。
本来であれば第三者的な立場や客観的な立場から物事を判断しなければならない時に、どうしても子どもの気持ちを優先してしまうのです。
例えば、わかりやすい例でいえば、親から虐待を受けて施設に入った子どもがいたとします。
客観的に見れば、親子をいったん切り離さなければならないし、面会も慎重に行っていく必要があります。
けれども、子どもにとってはどんなにひどいことをされても親は親なんです。
特に親がひどいことをするのは自分が悪い子だから、と思ってしまう子どももいるんですよね。いい子になればまた一緒に暮らせると思ってしまう子どももいます。
わたしが子どもに共感してしまうと、どうしても子どもに寄り添う気持ちを優先してしまいます。
けれど、それでは根本的な解決にはなりません。
親子が再び一緒に暮らすためには親の支援が絶対に必要になります。
わたしはその客観的な立場で親子を支援していく、というのが本当に難しく、気持ちの切り替えに苦労しました。
それだけでなく、施設に入る子どもたちはそれぞれ過酷な環境下に置かれた子どもたちが多いので、精神的に不安定な子どもたちもたくさんいました。
わたし自身もそこまでメンタルが強いわけではないので、精神的に不安定な子どもたちに共感してしまい、自分も不安定になってしまうことが度々ありました。
これじゃダメでしょ。
あたりまえです。
一緒に不安定になっていては絶対にダメなんです。
自分でもそう思いながらも必死で頑張っていたんですが、1年という節目で、周囲のアドバイスもあって児童福祉の現場から離れることにしました。
保育園の方が気持ちは楽かもしれないよ、と言われたのですが、その時は、わたしは保育士失格だと思っていたので、保育業界にも、児童福祉の世界にも戻る気持ちはありませんでした。
ずっと目指してきたことをたったの1年で辞めてしまったことで、自信も失ってしまいました。
その後はプロフィールでも書いているように、派遣OLとして2年ほど事務仕事をしていました。
完全に保育の世界から離れたわたしが再び、保育士として働き始めたのは、上の子の出産後1年が経った頃でした。
そのころ、夫の収入が減ってどうしても仕事をしなければならなかったこと、完全ワンオペ育児に精神的に参っていたこと、新規オープンした保育園がありすぐに入園できたこと、そんな事情から仕事復帰を決断したんです。
様々な場所で面接を受けました。
けれども、事務仕事は全滅。面接で「1歳の子どもがいる」というと、それまでいい感じだった雰囲気が、一瞬で変わる、というのを何度も経験したのもこのときでした。
急に休まれると困るから、という理由でした。
子どもが生まれる前と生まれた後のこの対応の差に、親になったという現実を自分の身で感じた瞬間でした。
そんな時にパートの保育士の求人を見つけ、連絡すると、すぐに体験&面接。
そしてその日の面接の中で即決しました。
自分の子どもを保育園に預けて自分は別の保育園で働くことに対して、かなり抵抗はありました。
しかも保育士としての自信もない。
けれどもその時働ける場所が保育園しかなかった。
それが正直なところでした。
不思議なんですけど、このとんとん拍子に進んだ保育園で今も働き続けているんですよね。
子育てと仕事の両立はわたしには無理だ
保育園で働き始めてからは、周囲の職員のおかげで楽しく働くことができるようになりました。
もちろん、苦手な職員がいたり、大変なことも多かったのですが、
一緒に働く他の先輩パートさんたちがものすごくいい人たちで、子育ての相談や仕事の相談にものってもらいで、本当にたくさん助けてもらいました。
そのおかげで今の職場で長く勤務できているんだと思います。
そんな恵まれた環境で働けていたわたしですが、辞めたいと思ったこともありましたし、実際1度辞めたこともあります。
それは2人目を妊娠中に通勤途中で意識を失って倒れてしまったときです。
それでドクターストップがかかってしまいました。
パートでも無給の休職というかたちにもできるらしかったのですが、そのときは、上の子も情緒不安定だったこともあって、妊娠中に復帰できる保証もなく、産後もどうなるかわからなかったこともあって、辞職しました。
その間に、子育てと仕事の両立はやっぱり大変なことだな、と実感してしまうんですよね。
保育園パートを始めてからフルタイム勤務も視野に入れていましたが、完全にその計画はなくなりました。
その後の仕事のことを様々考えながら、保育業界に戻るのはやめよう、とも真剣に考えたりもしました。
それでも、保育業界に戻った理由。
下の子の保育園がまたまた奇跡的に決まり、上の子から「お母さんは保育園の先生をやってほしい」と言われたからです。
上の子は保育園が大好きでした。
先生たちのことも優しくて大好きだったんですよね。
なので同じように保育園で働くわたしが子どもたちの大好きな先生(かどうかはわからないけど)として働いていることが嬉しかったようです。
元の職場(今の職場)…に連絡すると復職が決定しました。
フルタイムかどうかの話も出ましたが、家庭優先にすることで仕事をしようと決めたので、再びパートでの復帰となり今に至っています。
人生いろんなことがある
本当に、これ。
わたしは回り道してもいいと思っています。
やりたいと思っていた仕事が、理想とかけ離れていて、辞めることになったとしても、それは決して無駄にはなりません。
わたしは児童養護施設を辞めた後、事務の仕事をしていましたが、その仕事が無駄だったとは思っていません。
新たな友だちができたり、新しい考え方を知ったり、こんな仕事があるんだ、という発見もあったり、保育士の仕事というものからいったん離れたからこそ見えてきたものもあります。
ずっと保育業界にいたら見えなかった景色をみることもできました。
それは本当に貴重な経験だったと思っています。
そういった経験があるからこそ、様々な働き方をしている保護者の方に寄り添うこともできます。
いろんな働き方があることを想像することができるからです。
保育業界しか知らなかったらわからなかったことだと思います。
わたしがこの仕事をしていてよかったと思うことは、子どもたちの大事な成長の時間に一瞬でも関わることができる、子どもたちから多くの事を学ぶことができる、ということです。
わたしが初めて卒園を見送った子どもたちはすでに成人しました。
保育園の先生で、しかも担任でもない先生を覚えている子どもは少ないでしょう。
それでも、わたしは関わったすべての子どもたちを覚えています。
それでもいい、とわたしは思っています。
上の子は保育園の先生たちすべてを覚えているわけではないですが、
「保育園の先生たちはみんな優しかった」
ということだけは心に残っています。
保育園を卒園後、子どもたちは長い学校生活、そして社会へと歩んでいくことになります。
辛いことや哀しいこともあるでしょう。
逃げ出したくなること、自棄になることもあるでしょう。
それでも、心の片隅に、
「あの頃は優しくしてもらえた」「楽しかったな」
という記憶があればいいな、と思います。
わたしは40代になった今でも、わたしをずっと気にかけてくれていた幼稚園の先生の事を覚えています。
集団生活が苦手でほとんど通うことができなかった幼稚園ですが、わたしが馴染めるように様々な配慮をしてくれた先生でした。
今は、体力が続く限りはこの仕事を続けていこう、と思っています。
なんせ同じ職場には70代の保育士さんもいますからね。
負けていられません。
今の職場を離れることはあるかもしれませんが、子どもや子育てに関わる仕事は続けていくと思います。