保育士資格は学校に通うか、保育士試験に合格することで得ることができます。
ただ、保育士試験の受験資格は高卒だと平成3年3月31日以前とその後だと変わってきたり、とちょっとややこしかったりするので、その辺は自分に受験資格があるかどうか事前に調べる必要があります。
わたしの周りでは保育士試験を受けて保育士になった方が多いのですが、ほとんどが、30代~50代で、子育て中だったり、ある程度子育てを終えた方です。
そんな方々の話を聞いたり見たりしてきている中で、40代から保育士試験を受けて保育士になって保育園や子どもに関わる仕事に就きたい!と思っている方に知っておいてほしいことがいくつかあります。
もちろん、今資格はないけれど、現役で働いていて、資格がほしい!という方ならいいのですが、
子ども関係の仕事は、全く未経験です、という方がいきなり保育士資格を目指す、という場合、想像していた現場と現実がまったく違った!ということがよくあります。
子どもが予想通りに行動してくれない!ということをわかっていても、こんなに大変なの!?と驚く方も多いです。
想像していたよりきつかった…、こんなに大変だとは思わなかった…
そして、やっぱり無理だわ、と辞めてしまう人が多いのも現実です。
子育て経験があるから大丈夫?
子育て経験があれば、もちろん、たったひとりの子育てでも大変だ、ということはよくわかっていると思います。
保育の現場では、その子どもたちが何人もいて、なかには障がいのある子どももいれば、グレーゾーンの子ども、やんちゃな子どももいれば、大人しい子ども、人見知りが激しい子ども、様々な子どもたちと過ごすことになります。
複数の子どもたちの対応をしなければならない
担任になると様々な子どもたちをまとめなければなりません。
パートだったら、補助をするだけだし、大丈夫かな、と思っている方も多いのですが、トイレに連れていったり、食事の介助をしたり、というときには、担任はもちろん、パートでも複数の子どもたちを対応します。
手を離せばすぐに走り出してしまう子どもを2,3人連れてトイレに…ということも多々あります。
一人走り出してしまうと、他の子たちも楽しくなって、わー!!と逃げ回ることも…。
わが子なら「いいかげんにしなさーい!」と言いそうだけれど、そんな気持ちをぐっとおさえ、うまいこと気をひかなければならないという…
苦労しとるな…
今は、大声で叱る、とか怒る、という対応をしているところはほとんどないと思うんですね。
それって結局その場は言うことを聞くけれど、あまり意味がない対応、という風に言われているので。
なので、諭す、という感じです。
今は何をする時間かなー?おむつ変えないと気持ち悪いから替えに行こうね。という風に優しく伝えるんですよね。
まったく聞いてくれない子もいるけどね
もう、強行突破!と、抱っこしてやるぅ、と抱っこするのもいいのですが、
ひとりを抱っこすれば、他の子どもも抱っこー!と言ってきたりもします。
とにかくてんやわんや。
子どもたちもよく見ているので、担任の先生の言うことはよく聞いても、
パートの先生の言うことは全然聞かない、ということもあったりします。
怪我や病気の対応
怪我や病気の対応、もいろいろと大変だったりします。
わが子だったら、走っていて転んだ、となると、洗って絆創膏貼って、で終わりです。
ですが、怪我をする場面でお友だちとぶつかった、とか叩かれて傷ができた、となってくるとけっこう大事になります。
話せるようになってくると、お互いが家でこういうことがあった!と親に話をすることにもなるので、
怪我の処置はもちろんのこと、保育者は状況をしっかりと確認したうえで、お互いがわだかまりを残さないよう対応する必要があります。
そしてそれをしっかりと保護者の方にもお伝えしなければなりません。
現場を見ていませんでした、というのは通用しないんですよね。
なので、常に子どもたちを見守っている必要がありますし、怪我をしそうな状況になるならやはり保育者の介入が必要にもなります。
病気に関しても、複数の子どもたちを見ているからといって、どこか調子が悪そうな子どもがいる、ということに気づくのが遅くなってしまうのはあってはならないことです。
子どもたちは自分の体調をうまく伝えられないことがほとんどなので、そういった面は常に気を配っている必要があります。
とにかく体力と注意力が必要な仕事
保育園なんて子どもと遊んでいるだけでしょ?
なんてことをいまだに言う方もいらっしゃいますし、そういう軽い気持ちで、応募してくる方も多いです。
かわいい子どもたちとわいわい賑やかに楽しく遊べる仕事、
と思って保育や子どもに関わる現場にくる方は、だいたい現場の大変さに打ちのめされて辞めていきます。
体力は絶対に必要
これは本当に大事です。
若くて体力に自信のある保育士でも、最初の頃は、
「わたし、家に帰ったら爆睡しちゃいます」とよく話をしていたりするくらい、本当に体力は必要です。
わたしも、今は1日4時間~6時間、週に2日~4日くらいで出勤していますが、
週4日出勤するときは本当にぐったりしています。
しかもその週の夕飯はかなり手抜きです。
乳児クラスのお手伝いをしていると、抱っこでうろうろしていることも多いですし、幼児クラスに入ると、思いっきり鬼ごっこをしたり、走り回っていることも多いので、どちらにしても本当に体力勝負なんですよね。
全体を注意深く観察する力
これも本当に必要です。
いつ、どこで、誰が、何をするか本当にわからない現場です。
仲良く遊んでいるなー、とほほえましい光景だったとしても、次の瞬間に噛みつきがあったり、なんてことは日常茶飯事です。
噛みつきは、痕が残ることもあるので、保育の現場ではとにかく気をつけていることでもあるのですが、
それでも発生してしまいます。
やっぱり大事なお子様の命をお預かりしている現場、という意識が常に必要なんですよね。
コミュニケーション能力
子ども相手に、子どもにわかるように伝える、ということだけ意識を向けていればいいわけではないんですよね。
他の職員との引継ぎや、情報共有も大事な仕事ですし、
なにより、保護者の方の対応もとても大事なことです。
保護者の方が安心して預けられるよう配慮も必要ですし、時には子育てに悩んでいる方の相談に乗ったり、保護者に寄り添う姿勢も必要です。
そのためにはコミュニケーション能力は必須なんですよね。
保育の仕事は子どもと関わることだけではない
子どもと関わっているだけならいいのですが、書類作成や保護者対応というのが本当に大きな仕事でもあります。
特に子育ての経験がなかったり、それまで子どもに関わることがほとんどなかった方にとってみれば、保護者対応はとても難しかったりします。
様々な保護者の方がいらっしゃるので、ひとりひとりに向き合ってそれぞれの子育てに寄り添う、というのは子育てをしていても、難しさを感じることでもあります。
中には難しい保護者の方もいらっしゃいます。
自分の子育てに自信をもっていて、保育園のやり方に口を出してくる方もいらっしゃいます。
ついつい保育士が自分の考えを伝えてしまい、保護者の方を怒らせてしまう、ということもあります。
保護者の方からすれば「子育てもしてない人に、何がわかるの?」という気持ちになることもありますからね。
その点、子育て経験があれば、「うちもそうだったので、お気持ちわかりますよー」と簡単に寄り添うことができる、という利点があったりもします。
本当にいろんな保護者の方がいるので、やっぱり大変ですよね。
そして一番の負担になっているのが書類です。
特に若い方や新人の保育士が苦手に感じてしまったり、時間がかかってしまったりするんですよね。
なんでこんなに書類が多いんだ、というくらい多いです。
え、連絡帳書いたりするだけでしょ?と思われる方もいるかもしれませんが、
それだけではありません。
個人の育成記録、月間指導計画などの月案、週案、日案と呼ばれるものがあったりしますし、
他にも怪我が発生すると、その報告書のような書類も作成する必要があります。
各自治体や園独自の書類もあったりしますからね…。
まぁ、本当に置き場所に困るくらい、書類の山が溜まっていたりします。
これは、監査の時に全部チェックされますし、個人情報でもありますから、しっかり保管しておく必要があります。
だいぶデジタル化が進んできたとはいえ、まだまだ行政の関わることに関しては書類が多いです。
まとめ
さて、40代で、これから保育士資格を目指す方に知っておいてほしいこと、をわたしなりに書いてみましたが、どうでしょう?
せっかく保育士資格をとって、就職したのに、辞めていく人がとても多い現状に、やはり保育の現場はどうにかならんものか、とはいつも思います。
わたしが最初に保育士の仕事を始めた頃よりは、少しずつ改善はされていると感じてはいますが、世間一般的にはまだまだ、安い給料の割には本当に大変な現場だと思います。
ここ近年で保育士の重要性なども見直されてきているので、待遇が良くなることを期待してはいますが、どうなることでしょう。
正直、わたし自身、フルタイム勤務にはもう戻れないかな、と思う理由は上に書いたとおりです。
ただパートとして自分のペースで働ける分には、とてもやりがいを感じているし、これからもスキルアップして自分のできることを増やしながら子どもたちに関わっていきたい、と思えるくらい、やっぱり楽しい仕事でもあります。
40代以上の保育士は本当に多いです。
辞めていく人も多いけれど、頑張っている人が多いのも事実です。
これから頑張ってみようかな、と思われる方、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
少しでもお役に立てば幸いです。